Better Days

Think Simple. Lead the myself

五感で味わえる唯一無二の存在、フジロック

8回目のフジロックが終わった。
1年に1回のお祭り。もはや義務のように、囚われのように、行かなくてはと足を運ぶ。
誰を見に行くのではない。フジロックに行くのだ。
今年はギリギリまで予定が読めなかった。3日間行けないかもと。
結果的に6年連続で3日通しで行くことができた訳だが、やはり行く価値のある時間だったなと思う。
行かない選択肢はないなと。

なぜだかは一言で表すことができない。
こんな気持ちになったのは初めてだし、他で代替がきかないのだ。

今でも覚えている。2度目のフジロック。15時過ぎのグリーンステージでみた、スカパラこと、東京スカパラダイスオーケストラ

『戦うように踊れ!』

私の脳内ボキャブラリーにはなかった表現であった。
家の中に、自分の中に閉じこもっていては絶対に出てこない感覚だった。
あの瞬間、鳥肌が立った。
戦うように踊りたいし、そんな自分、ぜったい幸せだと。
そう、誰にも迷惑を掛けないからこそ、場に酔う自分に酔っていいのだ。

他にも覚えている。
2013年、午前中のグリーンで呑んだハイネケン
普段、脳で身体を支配していると勘違いしがちだが、逆なんだなと感じた瞬間であった。
おいしい山の空気を香り、心地良い風を全身で受け、真夏の緑に目を奪われ、大自然に響く音を楽しみ、音圧を肌で感じながら、ビールを口で喉で味わう。

こんなに幸せなことはこの世にないんじゃないかと思った。
五感を一度に刺激するなんて普段の生活ではそうそうない。
五感が刺激されることで脳がすーっと快感を覚える。
一方で危機感も感じる。「普段、五感を使ってないんじゃないか」と。
だからこそ、五感を嫌が応にもフル活用する瞬間の希少性が高く、あの場に足を運ぶのだと。

今年もそんな瞬間があった。
2日目のグリーンの一番手、サンボマスター
朝でまだ脳も身体も起きていない。徐々に起こしていけばいいやと椅子に身体を預けながら始まった。
ただし、それを彼らは、ボーカルの山口隆は許さなかった。

『何万人もいて自分だけ踊らなくていいと思ってるやつ!
 お前を踊らせに来たんだよ!』

どこまでも心を揺さぶってきた。これだ、この感覚。
この全身にぶわっと鳥肌が立つ、「解放していいんだよ」というお墨付き。
普段は欲望を剥き出しにすることは少ない。
しかし、そんなことは関係ないのだ。

「自分に正直でいる」

正直でいた方が良いことなんて考えるまでもなくわかってはいる。
が、わかりやすい原則だからこそ、そこで思考停止に陥ることがある。
「普段、正直でいれるのか?」答えは否。
となると、なおさら、自分の正直さを開放してあげる意味や必要性があるんじゃないかと。
エンジンのオーバーフロー的な、パソコンのデフラグ的な。

普段からそうでありたいとは思う。が、まだまだその道は遠い。
でも、一年に一度必ず苗場では素直になれる。正直になれる。
あの場が、あのワンダーランドが、魔法をかけてくれる。

もし自分がフジロックに行かなくなったとしても、自分の感受性が衰えないよう、
五感を刺激する機会、五感を刺激する場には自分を定期的に放り込みたいと思う。
人間的な感覚、動物的な感覚を磨いていくためにも、目で見て、香りを感じ、肌に触れ、舌で味わい、耳を澄ましていたい。

何が正解なんてものはないからこそ、自分の感覚の鋭敏さ、研ぎ澄まし方には限界がないんだろうなと思う
楽しいときは楽しい表情、動き、呼吸をする。どこまでもピュアでいることを誰にも咎められずにいる。

ブルース・リーは言う、『Don't Think!Feel!!』と。

感じる力があるからこそ、thinkできる力も磨かれると思う。
人の気持がわかる、自分の気持がわかる、そして、そこに寄り添える、人間でありたい。
今の自分にとっては、自分を磨くベストな機会がフジロックフェスティバルという空間であった。
フジロックに出会えて良かった。ありがとう、フジロック。そして、これからも。